歌に教わる英文法

洋楽を通して英文法を理解しましょう

30.THERE MUST BE AN ANGEL-EURYTHMICS(助動詞「MUST」の訳し分け)

No one on earth could feel like this

(直訳)地球上の誰もこのような気持ちを感じることはできないかもしれない。

(意訳)誰もこんな気分は味わえないだろうな。

I’m thrown and overflown with bliss

(直訳)僕は至福の中に投げ出されているんだ。

(意訳)今は至福に満たされているのさ。

There must be an angel playing with my heart

(直訳)僕の心の中には天使が遊んでいるに違いない

(意訳)きっと天使と一緒に遊んでいるんだ

I walk into an empty room and suddenly my heart goes boom

(直訳)僕が空っぽの部屋を歩いてゆくと、突如僕の心が高鳴りだしたんだ。

(意訳)僕が空っぽの部屋に歩いてゆくと、急に辺りが賑やかになったんだ。

It’s an orchestra of angels and they’re playing with my heart

(直訳)それは天使たちのオーケストラ。僕と一緒に遊んでくれている。

(意訳)それは一緒に楽しむ天使たちの演奏会

(must be talking to an angel)*

(直訳)天使に話しかけているに違いない。

(意訳)きっと天使と話しているのさ。

No one on earth could feel like this

(直訳)地球上の誰もこのような気持ちを感じることはできないかもしれない。

(意訳)誰もこんな気分は味わえないだろうな。

I’m thrown and overflown with bliss

There must be an angel playing with my heart

And when I think that I’m alone

(直訳)一人でいると感じるときに

(意訳)たった一人でいても

It’s seems more of us at home

(直訳)家には僕ら以上の誰かといるように感じる。

(意訳)誰か一緒にいる気分だ。

It’s a multitude of angels and they’re playing with my heart

(直訳)多くの天使たち。そして彼らが僕のハートの中で遊んでくれているんだ。

(意訳)天使のみんなが僕の中で遊んでくれているのさ。

(must be talking to an angel)*

(直訳)天使に話しかけているに違いない。

(意訳)きっと天使と話しているのさ。

I must be hallucinating watching angels celebrating

(直訳)僕は天使たちのお祝いの幻影を見ているに違いないね。

(意訳)きっと天使の宴の幻をみているんだ。

Could this be reactivating all my senses dislocating

(直訳)僕の感覚がおかしくなって元に戻ろうとしているのかも知れない

(意訳)僕は幻影を見ているのだろうか?

This must be a strange deception by celestial invention

(直訳)これは天界からの招待でおかしな詐欺にあっているに違いない

(意訳)(それとも)天上人からの招待で気がふれてしまったのか?

Leavin’ me the collection of your heavenly connection

(直訳)君との天国のような繋がりのコレクションを私に残しながら

(意訳)天国にいるかのような感覚を残して

 

I walk into an empty room and suddenly my heart goes boom

It’s an orchestra of angels and they’re playing with my heart

 

 

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「will」から「could」「would」といった助動詞の和訳についていくつかの洋楽を参考にして述べてきました。推量を表す助動詞は推量または確信の度合いによって和訳も変わります。可能性が低い「かも知れない」場合は「could」で可能性が高まるに従って「might」や「would」「will」となり、推量が確信に変わると「must」(~に違いない)となります。

今回取り上げたユーリズミックスのThere must be an angelは「天使がいるに違いない」と和訳されます。「must」の和訳は一般的には「~しなければならない」と教わりますが、「~に違いない」との和訳も同時に教わります。今回の楽曲では「違いない」と和訳しました。

「must」の訳し分けは後の動詞によって判定することができます。動詞は自動詞・他動詞の分類以外に「動作動詞」と「状態動詞」に分類され、mustに「動作動詞」が続く場合は「~しなければならない」と和訳され、「状態動詞」が続く場合は「~に違いない」と和訳されます。be 動詞は状態動詞なので、「there must be an angel」は「天使がいるに違いない」と和訳されます。

 動作動詞と状態動詞の区別は英文法では多くの局面で和訳に影響します。状態動詞は「~の状態にある」和訳されるので原則的に進行形に表現すえることができません。例えば「live」の和訳は「住んでいる」なので「I’m living in Osaka」と表現すると「間もなく転居する」ニュアンスで伝わります。「have」は「持っている」と和訳することはあっても「持つ」との和訳では不正確になる場合があります。さらに「know」は「知っている」と和訳できますが「(知らない状態から)知る」という動作は表現できず、使われる動詞が変わります。つまり状態動詞は原則的に進行形にすることはできません。ただ、例外も存在し、「love」は状態動詞ですが、場合によって進行形で使われることも可能です。動作動詞と状態動詞の判別は英和辞典でわかります。

 動作動詞と状態動詞の相違点を理解しておかないと、英会話において誤ったニュアンスが伝わってしまうリスクがあります。英会話において動詞の表現の誤りがあると相手に自身の意図が伝わらないどころか誤解を与えるリスクすらあります。英語を学ぶ際に英文法が重視されなければならない理由はここにあり